増税か、歳出削減かという不毛な選択

 最近のマスコミの報道を見ていると、日本はもはや増税や歳出削減か、という選択しかのこっていないような印象を受ける。しかし、増税はもちろん、国民に痛みを強いるものであるし、歳出削減も公的サービスカットという形で国民に痛みを強いるものである。どちらも痛みなんて冗談じゃない。
 しかし、実は「第3の道」が存在する。それは財政支出の拡大である。これはかなり前から主張されていることなのだが、それを主張する政治勢力は今や権力闘争により、政治の中枢から遠ざけられた。また、マスコミによく登場していた、植草氏が失脚したことにより、マスコミ的にも公共投資の重要性を主張する勢力が駆逐されてしまった。結果的に国民はもっとも痛みの大きく、将来的にも先細りが確実な政治的な政策を支持することになった。
 菊池英博氏著の増税が日本を破壊するでは、小泉によって削減された公共事業が2兆円であるのに大して、減少した税収が20兆円にものぼる事実を暴いている。
 つまり、われわれの直感に反して、政府が節約すればするほど、政府はどんどん貧乏になって行くのである。逆に財政支出を拡大すると、税収はそれ以上に増加するのだ。
 これは完全に直感と矛盾する。単純さを売り物にしてきた小泉政権が経済運営に完全に失敗したのは当然だった。つれてきた経済学者も電波理論を振りまわす電波芸者だった。
 著者は小渕政権やクリントン政権の積極財政がいかにして国民を救い、結果的に税収を増やしたか、ということをデータを挙げながら実証している。
 大昔だが、高橋是清翁の積極財政も日本を救った。逆に小泉が敬愛して止まない浜口雄幸は緊縮財政で日本を破壊した。
 今のところ公約として積極財政を主張しているのは国民新党だけである。国民新党が経済運営を担うことが日本を救う唯一の道だ。