奈落の底へ突き進む日本のミニチュアとしての橋下府政

 遅れてきたミニ小泉である橋下は大阪府の予算を切り詰め、大阪府を奈落の底へ突き落とそうとしている。
府民は拍手喝采、これまた、小泉フィーバーの再現と言えよう。数年後は格差だの、貧困だのと言って騒ぐに違いないと思うのだが・・
本来の問題は中央政府の予算縮小、日本銀行の長年にわたるマクロ政策の失敗が根本的な原因であるが、それらのことはまったく話題にならない。
 中央メディア、関西メディアを見る限り、「大阪府行政は腐っており、それらに切り込み退治する橋下さんGJ。膿を出し切れ」というのが「民主的」な意見である。彼らがその意見の虚しさに気づくのはいつごろなのであろうか。大きな問題に目をつぶり、的外れな小さな問題にまい進する橋下の姿も、それを拍手喝采する府民たちも「いつか来た道」である。
 竹ヤリでB29を撃墜するとしていた戦争中の状況となんら変わるところはない。本来の意味での太平洋戦争の総括が出来ていないせいであろうか。それは戦時補償が済んでないだのという話などではなく、なぜ日本は戦争に突き進み、それらを国民は拍手喝采で歓迎し、日本が破滅したのかというプロセスの根本原因が解明されていない、という意味である。悪者の軍部に騙された善良な国民という的外れな構図を今こそ疑うべきである。
 翻って橋下府政である。緊縮財政で今の苦境を乗り切り、府民に血を流すことを涙で訴える彼の姿はきわめて「民主的」である。しかし、我々は大きなしっぺ返しを受ける。だって言ってることが「嘘っぱち」だもん。そもそもの原因を取り違えているんだもん。こんな人を信じるほど虚しいことはない。熱狂が大きければ大きいほど、落胆も大きい。まさに「暗闇への跳躍」である。
 以上に書いたことは事前の予測どおりだ。私が危惧するのは次の段階である。橋下府政により、大阪が「再建」されないことに気づいたとき、府民は「さらなる改革(笑)」や「膿を出し切る攻めの府政(笑)」などを求め、更なる自滅の道を進むことになるのではないか。その時、何が起きるのか。私は怖くてたまらない。