安倍の取るべき「合理的」行動

 安倍内閣:支持率14ポイントの大幅減 毎日世論調査

 「逃げ」の安倍首相に失望…復党問題沈黙で支持率下落
 
 どうやら各種調査で安倍内閣の支持率が落ちているようだ。政権発足直後が高すぎたので「落ちて当然」ではあるが、問題はこれを再び上げることが出来るかという点にある。
 私はキーポイントは「サプライズ」であると思う。つまり小泉がやった手法である。彼が行った手法は要約すれば以下のようになる。
 「支持率が50%を割り込みそうになった時、選挙直前、例えば北朝鮮郵政民営化をめぐる党内のゴタゴタをネタにした国民を「あっ」と言わせる行動をとる。」
 書いてしまえばたやすいが、こんなことは普通の政治家には出来ない。しかし小泉はそれを「やりきった」である。小泉の長期政権の維持の秘密は全てこの「パフォーマンス」にあったと思う。衝撃的で印象的な「政治的な成果」や「決意」をとにかく分かりやすく国民の目の前に叩きつけるのである。いわゆる「小泉劇場」である。そのパフォーマンスが「本当に意味のあることかどうか、国民のためになるか」などはどうでもいいことなのである。とにかく国民を驚かせ、「え、小泉すごーい」とか思わせて、思考を瞬間的に麻痺させ、自らの支持者にするのである。サブカルチャーの伝統的(笑)な手法であるが、選挙は所詮人気勝負である。「しっかりした政策」「気骨ある保守」などという伝統的価値観はほとんど関係ない(あ、言い切ってしまった。でも、外れてないと思う)
 さて問題は安倍がこの手法を踏襲できるかどうかである。各種発言によるとどうやら本人は小泉を真似するつもりもないし、能力的に無理と考えているようである。
 これはおかしな話である。前回の参議院選挙など、北朝鮮の人質救出というわかりやすいネタがあったにかかわらず比例では自民党民主党に負けたのである。自民党が生き残るためには無理だろうがなんだろうが、小泉のサプライズ的手法に頼らざるを得ないはずである。そこらへんを安倍はどう考えているのだろうか。
 安倍が首相になってからの行動は私にはほとんど不合理な行動ものに見える。上のような考えに基づく限り安倍がなすべき政策は次のようなものに限られるはずだからである。

 1.外交政策サプライズ
  北方領土問題解決を成しとげる
  北朝鮮に拉致された人質を全員救出する。
 2.党内権力抗争サプライズ
  党内の権力争いに勝った姿を国民に見せる。
 
恐らく現時点ではこの2つが選挙に勝つ積極的な手法である。1の外交政策については現在の状況ではどちらも来年の参議院までの達成は難しい、というかほとんど不可能である。なにしろ北朝鮮は閉じた貝のような状態なのだから。確かに安倍は今の北朝鮮に対して強硬な姿勢をとるという対応を取ってはいる、しかしいまや「その程度」では国民は「釣られない」のである。北方領土も同じく難しい。
 2番目についても現在騒ぎになっている復党問題の安倍のヘタレ的な対応を見る限り、むしろマイナスの対応を取っている。小泉によって「破壊」された自民党はもはや「進むしかなくなった」のである。安倍はそこに気づいていないのであろうか?もはや「古い自民党」への回帰と思われる対応は全てマイナスであり、「新自民党」の崩壊を招くのである。今更あの時の自民党は一時的におかしくなってました、なんて寝言は通じない。なんせ安倍は小泉内閣の閣僚だったのである。いくら「あの時、私は止めたんですよ」なんて言う立場でもないし、言っても通用しない。「改革を止めるな」ではなくて「改革は止めれない」のである。言い出した以上は全てを飲み込み、「進んでしまう」のである。小泉が「禁じ手」を使った以上、自民党は国民に飽きられないようにひたすら目新しいパフォーマンスを繰り返すしかないのである。芸能界と同じである。
 現状では安倍は全く反対の行動を取っている。おそらく安倍は「普通の政治家」であるので、伝統的自民党に「回帰」し、昔の安定した状態に戻したいのであろう。これは長期的に見ればもっともな行動だ。常識人の行動であろう。
 しかし、それはもはや通用しないのではないだろうか?「邪道」を一旦やってしまった以上、「正道」は退屈で古臭いものにしか感じられないのではないだろうか。まさに「麻薬」である。
 
 あ、そうだ。上の2つ以外に安倍が取れる合理的な行動があった。

 3.小泉政権に政権移譲
 
もはや、「新自民党」が生き残る行動はこれしかないのではないか。私にはそう思えてならない。いや、私個人は自民党が崩壊して、政界が「社民主義 VS 新自由主義」の構図になることを期待しているのだけどね(笑)