新自由主義者たちの真の意図?

 長い間、なぜ「日本は破綻する」というデマを政府は国民に振りまいているのかが不思議であったが、森永卓郎氏がその答えをコラムで推理していた。

第30回:消費税10%にこだわる財務省と自民党〜増税なくして財政再建は可能〜

 新自由主義者たちの理屈はこうだ。

 「皆が額に汗して稼ぐ時代は終わった。これからは、一部の有能な人材が付加価値を創造していく時代になる。庶民は、そのスタッフとして働き、分け前にあずかるだけだ。新しい時代の付加価値創造の担い手に重税を課してはならない。そんなことをすれば、有能な人たちは海外に逃避してしまう。有能な人は金持ちだ。だから、できるだけ金持ちを税制面で優遇し、そのツケを庶民に回さなければならない」

 もちろん、こんなことを堂々と主張すれば、庶民の反発を招いてしまう。そこで、財務省や政治家たちは都合のいい言い訳を思いついた。増税しなければ日本の財政が破たんするという理屈だ。
 日本の政府債務は昨年6月末で795兆円だ。確かにGDPの1.5倍にも達する巨額の借金だが、逆に政府は金融資産も相当持っている。その額は480兆円だ。差し引き315兆円。少なくはないがヨーロッパ諸国と比べて少し高い程度の水準であり、破たん状態などにはない。

 だが、財務省は「財政破たんキャンペーン」を繰り広げ、国民の多くは「歳出削減をした上でなら」とか「社会保障のためなら」と消費税増税を受け入れるような方向に進んでいる。

 政府はなんとしても大衆、特にフリーターやニートからも税金を取りたいのだ。そのためには消費税しかない。だが、放置すると、増税なしでも財政再建可能という声が大きくなってしまう。そこで、財政再建目標の引き上げという策を思いついたのではないだろうか。

 消費税を1%上げると、地方に5000億円、中央に2兆円が入ってくる。GDPの2%は10兆円だから、消費税率を5%引き上げれば中央政府は10兆円を確保できる。と、なると消費税率は5%アップの10%。

 消費税10%という数字は公式な発言にはないが、財務省や一部自民党幹部、および御用学者たちがずっと描いてきたイメージだ。つまりは、消費税10%を実現するためにGDP2%という数値が出てきたのではないか。

 ソースが日経というのが苦笑せざるを得ないが、森永氏にコラムを任せると言う事は、日経にもまともな編集者がいるということなのだろう。(日経にもたまにはマシな記事が載るらしいし)
 
 ところで、この「金持ちが海外に逃げるから所得税の累進性緩和すべき」ということを裏付けるデータを私は見たことがない。直感的には正しそうな理論であるが、実際の人間社会はそんなに簡単ではない。現実にはさまざまな理由から海外に逃げる人などほとんどないのである。今よりもずっと累進課税が高かった時代に日本から逃げ出す金持ちなど、ほぼ皆無であった。これまた現実は直感に反する好例である。
 さて、本題に戻ると、この日本の財政破綻寸前キャンペーンの意図はわけがわからない。森永氏は新自由主義者が裏で糸を引いていると推理するが、ちょっと陰謀論めいている。実際に増税が行われれば、日本の財政は逆に悪化し、本当に破綻状態になってしまうだろう。国が死んでしまえば新自由主義者だって被害を受けるはずだ。新自由主義者は近い未来までしか予測できないほど近視眼的な電波なんだろうか?小泉内閣の景気は回復しているというデマゴーグに反して、日本の経済規模は足踏み状態であり、欧米諸国の成長に比べてあまりにも低い。経済成長なんてして当たり前なのに、政府が緊縮財政、増税を繰り返して、これでもかと失政を繰り返して、日本国を破壊しているおかげで、日本は10年前の経済規模にも及ばぬ状態である。
 この「増税しなければ日本は破綻キャンペーン」の説明として、財務省が自らの至上命題である財政再建を果たすために政府与党を操っているという説も有力である。テレビに出演している財務省出身の議員や大学教授は本当に東大出ているのかと思うほど軒並み電波ばかりである。財政再建さえ、果たせれば国民などどうなってもいいとでも言いたげである。彼らの頭の中では
   
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なんだろう。新興宗教に入信してしまった高学歴な若者状態か、はたまた、戦前の日本陸軍か。
 もちろん、この森永氏や、前日挙げた菊池氏のように、高学歴でかつ国民のためを思って、正しく経済を理解し、政府を批判している人たちもいる。しかし、例外的な存在といわざるを得ない。今の政府や世論を形成しているものの大半は日本を破滅に追いやっているのである。
 こうなったら、農民一揆しかないな(笑) あ、こんなこと書くと共謀罪で逮捕されちゃうのか。ヤレヤレ、不自由な時代である。新自由主義は不自由ってことなんだね(苦笑)