平成18年春場所の雑感

 結局、「毎度、大阪」と優勝インタビューで言った朝青龍の優勝に終わった。初優勝を期待された白鳳は千秋楽は魁皇に負け、決定戦になり朝青龍に負けた。前日まで大関を飛び越して横綱のような落ち着きを見せ、万全の相撲をとっていた白鳳だが、結果的にはキャリアの差が出た形になった。
 朝青龍は今場所は決して万全ではなかった。ここのところ毎場所稽古不足を指摘されている朝青龍だが、今場所も場所前はほとんど稽古が出来ていなかった。それでも13番勝ってしまうのだから、恐るべき勝負強さである。*1しかしながら、他の力士との差は今までのような圧倒的なものではなくなって来ているのも事実である。それを象徴的に表しているのが千秋楽の本割の対栃東戦ではなかったか。あの相撲はかなりみっともない負け方であった。「ここ一番では絶対に負けない朝青龍」と言う神話が崩れ去ったのである。来場所の前こそはちゃんと稽古しなくてはそろそろ横綱の座も危ういかも知れない。
 一方白鳳は優勝こそ逃したものの最終日を除けばほとんど横綱のような強さであった。この調子で行けば、今年中の横綱昇進もあり得そうである。課題は精神力であろう。
 今場所も角番だった魁皇だが、7敗してからの奇跡の3連勝で辛くも大関陥落を免れた。
今までのように来場所も途中休場で再来場所また角番になるのではないかという穿った見方もあるが、マワシを取ればまだまだ大関としてやっていけることが証明された。貴乃花、曙、若乃花と同期入門の33歳の魁皇。一体どこまで現役を続けられるであろうか。個人的に楽しみである。
 琴欧州は足の怪我で本調子からは程遠い体調であったが、それでも9番勝って大関としての最低限の勤めを果たしたと言える。来場所までに怪我を治して出直して欲しいものである。怪我さえなければ十分に横綱を狙えるであろう。
 栃東は今場所の綱とりは逃したが、12番勝って来場所への綱とりへの希望をつないだ。今場所も先場所に続いて自然体ではあったのだが、先場所のようなキレがなかった。来場所こそは先場所のようなキレを取り戻し、横綱になって欲しいものである。やはり横綱は最低2人はいるべきだ。
 他に特筆すべきは北の富士以来の十両全勝優勝を成し遂げた把瑠都である。体格に恵まれ力も強い。立ち合いがやや高いと言う欠点はあるものの、それさえ克服出来れば幕内でも十二分にやっていけるであろう。個人的には将来の横綱候補の最右翼ではないだろうかと思っている。あまりにも昇進が速いので日本語力が追いついていないのはご愛嬌か。 

*1:先場所も途中の腕の怪我さえなかったら13番くらいは勝っていただろう。