ニューオリンズの台風被害をどうみたか

 私もそうだったのが、ネット上では被害にあったニューオリンズを未来の日本の姿だと捉えた意見が多かったようだ。
 TVには避難できずに取り残された人々が映ってた。あの人たちは事前の警告を受けたのだが、金がないので車を持っておらず、避難できなかった貧しい人々だったのだ。しかもどう見ても黒人ばっかりである。テレビの画面には世界一のGDPを持ったアメリカの現実がはっきりと映されていた。
 実はアメリカはすごい階層化社会である。貧しく生まれたものはほぼ上に這い上がることは不可能である。まともに字を読めなくても、世界情勢にほぼ無知でも、父親のコネがあれば大統領になれることを大統領自身が証明したような国である。ビルゲイツの親父だって金持ちの弁護士。クリントン前大統領は貧乏な人でもちゃんと教育を受けれるように公教育の復活を掲げたが、自分の娘はやっぱり私立に入れた。
 ここ20年で富めるものはますます富み、貧しいものはなんと20年前よりも貧しくなったのである。
 これは他人事ではない。実は日本もこの10年でアメリカのような格差社会に近づきつつあることが各種の調査で明らかになっているのだ。
 田中角栄のように、極貧に生まれたものが、努力しだいで総理大臣になるなど不可能な社会になりつつあるということだ。(ちなみに今の総理大臣は三代続いた政治家である。努力したものが報われる社会ってそういうことらしいぞ。)
 私が知っている古きよき日本は先進国の中でも非常に平等な国だった。金持ちから税金をたっぷりとって、貧乏人に再配分してた。みんなで豊かになっていたのである。いまなお社長の給料はアメリカみたいに平社員の100倍なんて馬鹿なことはない。
 ところが最近はどうだろう?古きよき日本的な政策を掲げる政治家は「抵抗勢力」「守旧派」「古い」などと切り捨てられているのである。
 おかしなことにそういう政治家の政策に守られている、あるいは将来守られるであろうはずの人々も、彼らを迫害しているように見えるではないか。(ぶっちゃけ、格差社会では9割が「負け」だよ。「勝つ」やつなんてほとんどいない。)
 一方で格差社会を推し進める政治家(もちろん彼らはそうは言わない。ズルいよ。)が「革新的」「新しい」「カッコイイ」としてもてはやされてる。
 これは一体どういうことだろうか?色々と原因があるとは思うのだが、大きな原因は格差社会がどういうものだか、日本国民が分かっていないことにあるのではないかと思っている。
 しかし今回、将来の日本の姿が期せずしてテレビの画面に映し出されたのだ。そして多くの日本国民はそれを見たのだ。
 それが未来の日本の姿なのだと多くの人が気づくことを祈るばかりである。
 そしてその上でなおアメリカのような格差社会がいいと言うのならば、それは国民の選択である。
 私はそういう社会には反対だが、国民の大多数が望むのならば、致し方ない。いや、でも反対だ。(どないやねん)