すごく的確な小泉政権批判を発見

 政権交代のための条件―――民主党の政権構想はいかにあるべきか 北海道大学法学部教授 山口二郎

これって民主党がどうやったら政権取れるかっていう文章なんだけど、小泉政権の悪い部分が非常に簡潔に書かれてる。

まずは小泉政権がやっている政治を次のように表現。

現段階における小泉構造改革は、リスクの個人化というアメリカ流のネオリベラル路線の悪い部分と、旧来の官僚支配における裁量行政という悪い部分を組み合わせたものである。リスクの個人化の負の側面とは、教育や医療など人間生活に不可欠な社会サービスの購入に関して自己責任が強調され、個人の負担が増える一方、失業、倒産など経済的競争の敗者に対する政策的支援が縮小され、失敗のリスクも個人が引き受けるということである。年間の自殺者が3万人を超えるという実態は、リスクの個人化の究極の姿である。

おお、いままでこんな的確に小泉政権を表した文章を見たことがなかった。

 おまけにそんな小泉政権をなんで、みんな支持しちゃうか、という疑問にまで答えてくれている。

新自由主義的な構造改革政策に対して、その犠牲者である中流以下の人々が支持を寄せるという現象はアメリカでも起こっている。構造改革論者が、政策によって生じる実体的な効果について説明するのではなく、既成の官僚や政治家を非難し、市場メカニズムを賞賛するという漠然とした言説を展開する中で、人々は自分の置かれた状況を理解できないでいるからこそ、そうした倒錯した現象が起こる。

おお、簡潔にまとまっている!

さらに、それではどう言った政策が「正しいのか」ということまで言及してくれている。

こうした構造改革路線に対抗する政策を立ち上げるためには、基本理念としての平等を再生させる必要がある。結果の平等を志向する旧来の福祉国家は、西欧諸国でも行き詰っている。福祉国家改革にとっては、平等の再定義が不可欠である。経済の活力を維持するためには、社会に参画し、自己実現を求める個人のエネルギーが必要だという前提で考えてみよう。ただし、個人が十全に働くためには能力を高めるための教育が必要であり、病気や失業などのリスクに備えたセーフティネットが必要である。こうした社会的な条件が存在してはじめて機会の平等が保障される。ところが、小泉政権構造改革では医療費の引き上げ、公教育の放置など、機会の平等を確保するための制度、政策基盤が崩されている。「努力したものが報われる社会」というスローガンがむなしく響くのはそのためである。教育や医療など、人間が自己実現を求めるために必要な土台となる社会サービスが、一握りの金持ちのためのぜいたく品となるならば、機会の平等など絵に描いた餅となる。

 もしも民主党が本当にこういう事をやってくれるんだったら支持してもいんだけどなあ。でも民主党ってこんなこと言ってたかな??しかし一つだけ確かなことは、小泉自民を支持すればさらなる「痛み」の強要を国民に押し付けるのは目に見えているからなあ。。。