NANAって

 帰りの漫画喫茶で店頭にNANAという本が置いてあった。話題の本だから名前は知っていたが読んだことはなかった。なんとなく手にとって作者名を見るとなんとあの矢沢あいではないか。あの往年のりぼんの天使なんかじゃない、はいまだに私は覚えている。(私は女に囲まれて育ったので少女漫画も読んでた。)
 そこで1巻だけを読んでみたが、これがまた面白いのなんの。気が付いたら12巻まで読んでしまっていた。
 基本的には昔の矢沢あいの作品と同様で、ある仲間内の恋愛物語である。これは大人向けだからだろうか、売春やクスリなど危ない話も描かれており、リアルっぽく描かれている。
 主人公はナナという偶然同じ名前の2人の女。
 主体性のないナナは恋愛を中心に人生を展開、どんどん男を乗り換えて行く。彼女には彼女なりの理由があるんだよ的な描かれ方をしている。周りにいたらすごい迷惑な人だと思うが、最終的にはこの種の女が行き着く典型的な所におさまっているのが、妙に納得させられてしまう。(ネタバレだけどデキちゃった結婚だよ。あんたらの周りにもこんな女いただろ?)
 もう一人のナナはパンクバンドで一生食っていこうとする夢追い人。自分の力を殆どすべてその実現にあてている。すごい主体的で行動的な人物として描かれている。(しかし段々とこのナナにも複雑な心の葛藤があることが明らかにされていく。)
 このあまりにも対照的な2人が出会い、なぜか強く惹かれあう。
昔、加藤諦三の本で読んだが、劣等感の強い人は自分と対照的な人に惹かれ、劣等感の少ない人は自分と似た人に惹かれるのだそうだ。この2人が惹かれあっているのは2人ともすごい劣等感を埋めあうような関係だったと言う事か。
 細部は書かないがある運命で引き裂かれた2人は、その言葉を裏付けるかのように精神的に不安定になっていく。
 心理ドラマとしては非常に面白い。続きがすごい楽しみだ。
 でも音楽面での設定はなんか首をかしげてしまった。今時セックスピストルズにあこがれてバンドやってメジャーデビューする奴なんていないだろ・・・・おまけにシドビシャスがいい男って音楽やってる奴が言うかな。。。あいつベース弾けないベーシストという妙な位置づけだったんだけどな。。。まあビジュアル面は抜群だったんだけどな。追い出されたグレンマトロックが再結成でしっかりとベースを弾いていたのは笑ってしまったが。
 まあ、こんな細部にこだわる奴はいないだろうな。だから人間ドラマとしては面白い作品じゃね?