プロジェクトXでヤラセ

 「プロジェクトX」事実と違う、取材された高校が抗議

  同校が抗議したのは、5月10日に放送された「ファイト! 町工場に捧げる日本一の歌」。同校に赴任した新人教師が、1982年にグリークラブを作り、全国大会で金賞を取るまでの歩みを伝えた。

 番組は、同校について、「荒れに荒れていた」「年に80人が退学」「初めての合唱コンクールにはパトカーが来た」などの表現で紹介したが、同校はこれらの表現が事実ではないとして、根拠などを尋ねる質問状を提出したという。

 私もPCでWEBを見ながらこれを見ていた気がするが、「荒れた高校を立て直した感動物語」かなあ、くらいに思ってた。

 でも、実際にはそれほど荒れていなかったようだし、退学者の数も事実ではなかったようだし、おまけに全国レベルの吹奏楽部があったらしい。

 まあ、これは極端な捏造だけど、今までの放送もかなりあやしいと思われる部分が多々あったしなあ。

 もともとこの番組の趣旨は「道徳の時間」である。ほら、小学校の頃にみんな受けたあの授業ですよ。
 昔の人はこんなにがんばってたんですよ。だから皆さんもがんばりましょうね!というわけである。胡散臭いことこの上ない。
 これは一見するといい番組に見えるが「感動」を強調すると背景にある成功の要因を分析する着眼点が失われ、ひどけりゃ変な神話が出来てしまう可能性すらある。

 「日本は神国であり神風が助けてくれる。」

 そんなアホみたいな神話が第2次世界大戦の頃に信じられていたようだが、実際は元軍が台風シーズンに律儀に来てくれたので勝手に全滅してくれた、というのが真相だったようだ。もちろん前の大戦で日本は負けた。

 真実なんて味気ないものなのである。感動的な物語が世の中を動かすのではない。成功の裏にはちゃんと合理的な考え方が背景にあるものだ。
 道徳の時間は小学生だけで十分だ。大人はもっと冷静にならなきゃいかん。