なんか洗脳されてる

 私は職業上の必要から英語を話すし書く。はっきり言ってNativeが聞くと噴出すような英語だろうが。

 こんな私も大学生の頃は英語を話せなかった。私の英語は外人(Nativeはいない)ばっかりの環境を行き抜くためになんとか身につけた英語である。
 私も大学生の頃は英語なんてチンプンカンプンで、文章がなんとか読める程度であった。
 大学時代のある日、サークルの後輩がフランス人を京都案内するから私も来ないか?、というのでついていった。そのフランス人はエライ流暢な英語をしゃべっていた。どうも外交官の子供でエリートだったようだ。あとはアメリカ留学経験のある後輩と、これまたアメリカ留学経験のあるその友人であった。
 さあて、こんな場面で英語がしゃべれないのは私1人である。いや、正確に言うと、話せるのだが相手の言うことが全く聞き取れなかったのだ。
 我ながらそんな場面によくいったと思うけど、私はこういうことを平気でやってしまう軽率な人である。
 もちろん、ほとんどフランス人としゃべることは出来なかった(今だったら相手を笑わすことさえできる自信がある)
 フランス人は私が英語をしゃべれないのを不思議に思ったらしく、私の後輩の友人に問いかけていた。

 フランス人「なんで彼は英語しゃべれないの?」

 後輩の友人「ええとね、彼は英語を読むことは出来るのよ。でもしゃべれないの、日本の英語教育が悪いのよねえ。」

 フランス人「へえ、日本の教育っておかしいわねえ」

フランス人は私に妙に同情していた。(ちなみにこれはあとで日本語に訳してもらった。私が聞き取ったわけじゃない)

 今から考えれば私の後輩の友人は完全に間違ってた。
日本の英語教育真面目に受けただけで英語が話せる奴なんていやしない。単純に時間が足らんのである。
 私の後輩もその友人も英語がしゃべれたけど、英会話学校にいったり留学したりかなりの時間を割いていた。それをやって初めて会話できるようになったのだ。
 でも、私は英語を使うようになって思ったのだけど日本のあの文法詰め込み式の英語授業はかなりいいのだ。
 あれを一通り覚えてさえいれば、いざ、会話の練習をするときにかなり役に立つ。あれさえ覚えていればなんとか話すことは出来る。あとは相手の言うことを聞き取れるようになればいいだけなのだ。(しかも半分くらい聞き取れれば、会話はなんとか成立する。)
もちろん発音なんてめちゃくちゃだろう。話してると時々聞き返される。しかし所詮私はNitiveじゃない、舌の動かし方なんて幼少期に決まってしまうのだ。両親のどちらかが英語圏じゃないかぎり、それはあきらめるしかない。
 おそらく最初から聞き取りだとか会話の訓練をやっていてはこうはいかなかっただろう。日本のあの英語教育はあとで会話能力を訓練するときの準備台を作ってくれたのである。みんながみんな私のように英語を必要とするわけじゃないので、こういう教育の仕方はかなり有効だと思う。なんせ、英語だけやってては馬鹿になる。所詮、英語は道具である。それだけじゃ何もならん。
 今の英語教育議論を聞いていると「早くから英語に慣れさせろ」派と
「いや、まず日本語教育をしっかり」派に分かれるが、私は絶対に後者だと思う。
 英語だけ話せる「馬鹿」を大量生産してもしょうがないのである。
(ちなみに幼少期に両親、または家族がが話さない言葉を塾などで無理に学習させようとすると、悪影響がある、という説すらある。)  
 あの某TVのハリウッド映画などの英語会話を聞き取るゲームなどは不愉快極まりない。どういう方針であんな番組をやっているのか?あんなもん、向こうに何十年生活している人だって聞き取れない人がいるんだぞ。
 我々にアメリカ人になれ、ってのか?